鹿屋ハートセンターの電子カルテ

電子カルテに記載された看護記録

電子カルテに記載されたカテ記録

電子カルテに接続された物流システム

 鹿屋ハートセンターでは、開業にあたり徹底したIT化を目標にしました。IT化で効率化を図り、空いた時間を使って患者に向き合いたいと考えたからです。しかし、このコンセプトは決して容易な道ではありません。電子カルテを導入した病院では、医師がモニターばかり見て患者のほうを診てくれないといったクレームが少なくありませんし、効率化どころか入力に時間がかかってかえって患者に向き合う時間が減ったというのもよく耳にする話です。しかし、私はこの点に関しては心配していませんでした。20代後半からPC8001を使い始め20年以上のパソコン経験があったからです。逆に患者と一緒に画像を見ながら説明することでよりよい説明が可能ななるとさえ思っていましたし、実際にそのとおりになりました。

 システムの設計に当たって、診察室の上に2つのネットワーク端末を置かない、置くコンピューターは1台だけにすると決めました。

 このため画像ネットワークへからの画像の呼び出しは電子カルテから行います。多くのメーカーの画像ネットワークは画像のウェブ配信を行っています。ウェブ配信された画像をエクスプローラーで表示するわけですからウェブベースの電子カルテがきっと親和性が高いのだろうと考え、セコム医療ステムの電子カルテを採用しました。このカルテはレセコン一体型ですので、レセコンのシステムとの接続等で煩わされることもありませんでした。

上の写真も、右上のの写真も鹿屋ハートセンターの私の診察室のものです。1台のコンピューターに2台のモニターをつけています。右側のモニターが電子カルテ、左の画面が画像サーバーから呼び出した画像です。上の写真の左画面中央はCT画像、そのうろは心電図です。電子カルテは、画像を収集する血管撮影装置・CT・エコー等に患者のID情報を提供するHISとして機能しており、1坪にも満たないサーバー室で画像サーバーと接続しています。こうしたバックグランドでの接続がある故に診察室という端末に2つのネットワークは不要となっているわけです。外注している血液検査等の 検体検査結果は、検査センターから毎日、インターネットを介してセコムのサーバーに送られており、検体提出翌日には電子カルテ上で閲覧可能です。

鹿屋ハートセンターの患者情報は、鹿屋にはありません。開業当時は東京四谷のサーバーに、現在は鳥取県のサーバーに患者情報は存在します。鹿屋で入力されたカルテ記録も、鹿屋で参照する記録もインターネットを介してやり取りされています。

このようなインターネット利用型の電子カルテのメリットは次のようなことかと思っています。

1) 院内にデータがないために盗難や紛失という問題が少なくとも院内では生じない。 (こうした紛失は多くの場合、職員の手によるものと言われていますが病院にデータがなければ持ち出しようがない)

2) インターネットを利用しているため、患者が自分のカルテ情報を閲覧したり、医師が往診先や出張先からカルテを閲覧することが可能

3) 自施設サーバーと異なり、サーバーのダウン時にサービスを呼んだり、自施設に管理者を置く必要がない。

4) 医事会計システム等も院内にはなく、診療報酬改定時に中央でのシステム変更だけで全てのユーザーが最新のシステムを利用できる。 領収書の発行でもオンラインレセプトへの移行でもすぐに対応可能。

5) 特殊なソフトが不要なため、LANさえあれば廉価なコンピューターでネットワークを無限に増設可能。

 実際に、2006年10月からこのカルテを使用し、インターネットが使えないためにカルテが止まったことはありません。しかし、サーバーが止まったことはあります。この時、多くの職員がこれだから電子カルテは困るというようなことを言っていましたが、私はインターネット利用型のシステムで本当によかったと思いました。自施設内のサーバーのトラブルであれば、院内にサーバーの管理ができる職員はいませんし、鹿屋のような交通の便の悪いところにサーバーの修理に来るためには復旧までの時間がどれほどかかるか分かりません。複数回のサーバーのトラブル時にサーバーの傍にいるセコムのサーバー管理者がすぐに対処してくれ復旧までの時間はかかりませんでした。

 保守コストが不要、更新作業が不要でこのシステムはなんと素敵なのだろうと1年半経過した時点でも思っています。

2008.3.2 新井英和

 

 

 

鹿屋ハートセンター  郵便番号893-0013 鹿児島県鹿屋市札元2丁目3746-8 電話 0994-41-8100